好きなことだけして生きてみることにした 第8回

ようやく待ちに待っていた起業家セミナーが始まった。

私が参加した起業家セミナーは数年前から年1~2回ほど区が主催しているものである。初心者向けの入門編とかもあったのだが、入門編はもうすでに今年の回は終わっていたので、私は中級者向けの事業計画作成編からの参加となった。まぁ、実際に事業計画書かないと前に進まない…と思っていたので、私的にはかなり絶妙なタイミングでセミナーに参加できたわけだ。まさに儲けもんだったわけである。

ちなみに、後で知ったが、入門編からセミナーに出席した人の話だと、入門編では実践的なノウハウはほとんどやらないらしいので、実質、このセミナーだけ参加しておけばOKだったらしい。
なお、さらに上級者向けのセミナーとかはない。つまりこの後の応用編は、実際に起業して体験してみなさい…ということである(笑)

──ということで、私が参加したセミナーは全4回で、1回は10:00~17:00(昼休み1時間)という結構しっかりしたカリキュラムだった。しかも、毎回資料も配布されるし、4回すべて受講すれば区から修了証がもらえる。この修了証があると区の助成金の特典を受けられるというかなりイイことづくめのセミナーだった。そして、何といっても全4回で4,000円という格安っぷり!

民間の起業セミナーとかだと、そこまで安い値段で受けられるものはないのではないだろうか。
それもこれも、自治体主催の起業セミナーは自治体での起業を促進して、地元の活性化を図るための行政施策の一つでもあるという側面があるからに他ならない。つまり、セミナー等の導入イベントの敷居はできる限り下げて、一人でも多く起業イベントに参加してゴールを目指してもらおうという狙いがあるのだろう。実際、地元で起業しないと修了証の効果や各種特典は有効にならないし、助成や融資先として優遇される金融機関も地元の銀行とかだったりする。

まぁ、そんなことは置いておいても、参加するメリットが非常に多い。もしずっとサラリーマンやってて社畜生活にだいぶ飽きて来たなぁ…というような人は、一度だまされたと思って自治体主催の起業セミナーに行ってみると良い。

起業セミナーに高望みしてはいけない

まず、最初に云っておくと、

起業セミナーに行けば、起業できる!

──なんてことはない。いくら起業セミナーに行っても、起業できない人はできないのだ。「行けばいつかきっと起業できる」とか希望を抱いて参加している人もいるのかもしれないが、基本的に本人に高い志がない限り起業は難しいと思う。

まだ今の時点で退職も起業もしていない私が云ってもアレなので、これ以上は突っ込まないが…起業セミナーに行ったからといって起業準備が進んだりはしないのである。ぼんやりしていた起業ビジョンがちょっと具体化するぐらいで、セミナーに行こうが行くまいが、起業準備は一人で黙々と進めていかないといけない。結局のところ、起業で頼れるのは自分独りなんだよね…特に私の場合は。

起業セミナーで出会った人たち

さて、起業セミナーには色んな人が参加している。
私がセミナーで出会った人たちはタイプ的には下記のような感じだった。

  • 起業したいけど何をしたらいいかわからない人
  • 既に起業しているが、事業が軌道に乗っておらず初心に戻ってもう一度自分の事業を見つめ直したい人
  • 起業セミナーに出ることが目的になってしまっていて、なかなか起業に踏み出せない人
  • セミナー修了証による自治体の特典が欲しい人
  • とりあえずノリで来ちゃった人

私は、1番目のタイプかな。まぁ、真の目的は「事業計画の書き方が知りたい人」なんだけども。ただ、どんなタイプの人でも、一般のサラリーマンとかよりずっと志が高いと感じた。話していると良くわかるが、みんなモチベーションが高い。
そして、みんな経歴も年齢も様々で、今までまったく知らなかった業界で起業を目指していたりして、そういう人たちと触れ合う機会はめったになかった自分としては、人との出会いだけでも刺激的な体験ができた。

今のご時世的に、自分と同じようにIT系の起業家が多いのかと思いきや、私を含めても同系職種での起業家は3人しかいなかった。私が参加したセミナーで出会った人たちで印象に残っている人を思い出してみると、

  • 個人経営の居酒屋さんを開業したい人
  • 医療系コンサルタントを目指す人
  • 自転車屋さんを創業したい人
  • 高齢者介護の人材派遣を行いたい介護福祉士さん
  • 保育園を開業したい保育士さん
  • 自分の書を商品化したい書道家さん
  • 子供向け知育グッズの販売をしたい人
  • 建築リフォームの仲介業をすでに起業している人

──と、まさに業種も様々だ。基本的にセミナー受講後の特典である自治体の助成優遇を受けて、効率よく起業したいという人たちが多く参加しているで、地域密着型の起業家が集まるのも、他の民間の起業セミナーとは一線を画すところかもしれない。
また、参加者の多くが同じ自治体に実際に住んでいる人なので、話がしやすいというのも大きな特徴だ。
セミナーでは1日のカリキュラム終了後に、有志で親睦会が行われるのだが、ここでもみんな地元の人であるうえに、同じ起業を目指す同胞という連帯感が生まれて、話題に事欠かず、大いに盛り上がることが多かった。

ワークショップ・セミナー

第1回のセミナーはほぼ座学であり、起業のメリット・デメリットや、起業家になるために必要とされるスキルなどを教えてくれるのだが、自分がなぜ起業したいのか、起業してどうなりたいのかというのを明文化していくショートワークを織り交ぜて進んでいく。ショートワークでは数人でチームを組んで、自分の考えをお互いに話し合うというセッション的なやりとりを行うので、全体的にセミナーというよりはワークショップ的な趣きが強い。

この「他の人に自分の起業プランを発表する」というのが、なかなか難しい。まぁ、最初は照れや恥ずかしさもあるのだが、お互いに専門性が異なる職種で起業しようとしているので、自分がやろうとしている専門的な分野の事業を、まったく畑の違う人にわかりやすく、しかも短い時間で伝えることが非常に難しいのだ。
大抵、起業家には職人気質の高い人が多いようで、私も含めてそういう人はコミュニケーション能力に長けていないため、他人にわかりやすく説明するというのが苦手である。実際、自分ではだいぶ噛み砕いて話したつもりでも、ほとんど伝わっていないことが多かった。おそらく、営業職をやっていて対人スキルが強い人であれば、その強みを生かせるのかもしれないが、それでも自分の業種・業界以外の人に専門的なことを説明するのは難易度が高いのではないだろうか。

第1回のセミナーのショートワークに、1分間で自己紹介をするというものがあった。1分間で人間が話せる文字数はだいたい300~400文字だ。つまり、それぐらいの文字数で自分を説明できるか…ということだ。
会社員をやっていると、名刺を交換することでほぼ自分の自己紹介の60~80%は達成していて、後は副次的に「会社では主に○○をやっています」「以前は○○をやっていました」とか補足するだけで事足りる。時間的にも1分もかからず儀式的に自己紹介が終了することが多い。
だが、起業家になると、初対面の相手にも自分のやっている事業を含めた自己紹介を行わないといけない場面が多くなるそうだ。そういう場面でも与えられる時間は1分が限度だそうで、それ以上の時間を初対面の人に割いてくれる人はなかなかいないらしい。そう考えると、1分以内で、できる限り簡潔に、自分自身の紹介と自分が何をやっているのかを説明しないといけないことになる。

これが本当に難易度が高く、まだ私もできない。これからできるようになるのだろうか…。

──と、今回はここまでにしておこうかと。

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